関東地方は,かつての都から遠く離れていたことから,稲作や文化の広がりは近畿地方などに比べて遅れた。
古代になると,古墳文化や仏教文化などが近畿地方から伝えられ,さきたま古墳(埼玉県)などの大型古墳が残っている。そして相模,上総,常陸などの国ができ,国府が設置された。 古代の終わりから中世に入ると,源氏や北条氏などの武士が力をつけ,鎌倉(神奈川県)に源頼朝により鎌倉幕府が開かれ,鎌倉は政治の中心地となった。現在も鶴岡八幡宮,円覚寺などが残されている。 その後幕府は近畿地方にもどり,関東は近畿などに比べ社会や文化の発展がやや遅れたが,下野(今の栃木県)の足利学校は儒学や易学などの教育機関として江戸時代まで存在した。
1600年の関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康が江戸(東京都)に幕府を開き,再び関東が政治の中心となった。家康の霊がまつられた栃木県の日光東照宮は世界文化遺産に登録されている。 江戸は「将軍のおひざ元」として急速に発展し,江戸の日本橋を起点に東海道など五街道が延びていた。江戸は18世紀の初めには約100万人の人口をかかえる大都市となった。 水戸,川越,小田原,佐倉などに城下町がつくられそれぞれの地域の中心地として発展した。
19世紀後半,黒船を率いたペリーが浦賀(神奈川県)へ来航し,日米修好通商条約のもと横浜が開港された。江戸幕府がたおれると,明治新政府は江戸を東京と改め,新しい都とした。東京は日本の首都として発展し,政治・経済・文化・情報などの中心地として栄えている。