関東地方では,大都市に集まる多くの人口を支える近郊農業がさかんである。東京都は住宅が密集し農地が少ないことから農業生産額は極端に少ないが,そのほかの県はいずれも多く,特に野菜生産にその特色が表れている。 茨城県の白菜,群馬県のきゅうり,栃木県のいちご,千葉県の大根などが全国でも上位の生産量をあげ,また,たまごや牛乳など畜産物の生産量も多くなっている。平地ではおもに露地栽培が行われているが,群馬県嬬恋村ではキャベツの高冷地農業が行われている。
関東地方には,東京都から神奈川県横浜市にかけて広がる京浜工業地帯,東京都から千葉県にかけて広がる京葉工業地域,内陸部に北関東工業地域,茨城県に鹿島臨海工業地域があり,工業が発達した地域である。 臨海部には鉄鋼,石油化学,造船などの大工場がならび,おもに内陸部に自動車やIC(集積回路)などの機械工業の工場が分布している。東京都に情報が集中していることから,京浜工業地帯では特に出版・印刷業の発達が見られる。 京葉工業地域では金属工業と化学工業,北関東工業地域では機械工業が発達している。